Tohoku University,
Graduate School of Science,
Department of Physics, Solid-State Quantum Transport Group
量子構造における物理量の量子コヒーレント操作を、大規模な量子計算の方向ではなく、Quantum Enabled Technology (QET、量子コヒーレンスの制御によって可能となる科学技術)の実現に結び付けていこうとするのが本領域です。高感度量子計測などの場合、小規模な量子結合であっても、感度の向上が期待できます。例えば約3倍の改善と言うと、何だそれだけかと思うかもしれませんが、東京・大阪10時間が新幹線で3時間になったり、これまで1cmまでしか発見できなかった病変が3mmで発見できたりすると世の中に大きなインパクトをもたらします。このような可能性のあるQETの実現には、様々な物理量の小規模な量子結合が必須となります。重要性が昔から指摘されているフォトンに加えて、最近発展が著しいフォノンの重要性にも着目し、電荷、クーパー対、スピン、核スピン、フォトン、フォノンなど異なる物理量の小規模な量子結合の基礎を確立します。
班 | 役職区分 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|---|
総括 | 研究代表者 | 平山 祥郎 | 領域代表者、01班の研究分担者も兼務、以下参照 |
連携研究者 | 石橋 幸治 | 01班の研究代表者も兼務、以下参照 | |
連携研究者 | 平川 一彦 | 02班の研究代表者も兼務、以下参照 | |
連携研究者 | 山口 浩司 | 03班の研究代表者も兼務、以下参照 | |
連携研究者 | 根本 香絵 | 04班の研究代表者も兼務、以下参照 | |
電荷・スピン | 研究代表者 | 石橋 幸治 | 理化学研究所 石橋極微デバイス工学研究室 |
研究分担者 | 平山 祥郎 | 東北大学 | |
研究分担者 | 川村 稔 | 理化学研究所 創発物性科学研究センター | |
研究分担者 | 神田 晶申 | 筑波大学 数理物質系 物理学域 | |
研究分担者 | 小林 慶裕 | 大阪大学 大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 ナノマテリアル領域 | |
研究分担者 | 大野 雄高 | 名古屋大学 未来材料・システム研究所 未来エレクトロニクス集積研究センター | |
フォトン | 研究代表者 | 平川 一彦 | 東京大学生産技術研究所 |
研究分担者 | 早瀬 潤子 | 慶應義塾大学 理工学部 | |
研究分担者 | 岩本 敏 | 東京大学生産技術研究所 | |
研究分担者 | 水落 憲和 | 京都大学化学研究科 材料機能化学研究系 | |
研究分担者 | 赤羽 浩一 | 国立研究開発法人 情報通信研究機構 光ネットワーク研究室、光通信基盤研究室 | |
フォノン | 研究代表者 | 山口 浩司 | NTT物性科学基礎研究所 |
研究分担者 | 本間 芳和 | 東京理科大学 理学部 物理学科 | |
研究分担者 | 野村 政宏 | 東京大学生産技術研究所 | |
研究分担者 | 有江 隆之 | 大阪府立大学 大学院工学研究科 電子物理工学分野 | |
連携研究者 | 米谷 玲皇 | 東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻 | |
理論 | 研究代表者 | 根本 香絵 | 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 量子情報国際研究センター長 |
研究分担者 | 江藤 幹雄 | 慶應義塾大学理工学部 | |
研究分担者 | 森 伸也 | 大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻 | |
研究分担者 | 松崎 雄一郎 | 日本電信電話株式会社 物性科学基礎研究所 | |
連携研究者 | 林 正彦 | 秋田大学教育文化学部 |
キックオフミーティングとして、第一回領域会議を8月29日(土)、30日(日)に開催しました。これは、新学術領域「ハイブリッド量子科学」の活動の本格的なスタートになります。参加メンバーのこの領域にかける意気込みがしっかりと伝わってきました。それぞれの研究チームが素晴らしい研究を行っており、この新学術領域で大いに発展しそうな原石がたくさんあることがわかりました。
領域代表 東北大学 平山祥郎
平成27年度に新たに発足した新学術領域「ハイブリッド量子科学」では平成28年度からスタートする公募研究を募集しています。この領域は概略図に示したように電荷(電子・クーパー対)、スピン(電子スピン・正孔スピン・核スピン)、フォトン、フォノンなど異なる物理量を量子的に結合させる基礎研究を追究し、それを高感度量子計測や新しい物理の進展につなげて行こうとするものです。これまでコヒーレント制御などに取り組んできた研究者、これまでは古典的なシステムの研究をしてきたが技術を活かして量子的な方向に研究を拡張したい研究者、新学術領域に参加している研究分担者と共同して新境地を拓きたい研究者など、様々な提案を歓迎いたします。詳細は領域代表者をはじめ各研究班の班長、分担者に問い合わせください。皆様からの積極的な提案をお待ちしています。
http://quant-trans.org/hybridqs/
- 領域略称名:ハイブリッド量子
- 領域番号:2703
- 設定期間:平成27年度~平成31年度
- 領域代表者:平山 祥郎
- 所属機関:東北大学大学院理学研究科
本領域は電荷、クーパー対、スピン、核スピン、フォトン、フォノンなど異なる物理量を量子力学的に結合するハイブリッド量 子系の基礎科学を追究し、高感度磁気センサー、少数(単一)スピン計測、微小質量検出、高感度物性測定などに結びつけること を目指している。超高感度・多機能量子計測などに代表されるハイブリッド量子系の機能を最大限に活用したQuantum Enabled Technology を探究することで、工学、理学から医学に至る幅広い分野にインパクトをもたらすのみならず、種々の材料、様々な物 理量に対する量子もつれ物理の探求といった新しい学術領域を確立するものである。
研究項目 A01 では、電荷(クーパー対を含む)、スピン、核スピンの量子的な結合の制御と、これらのフォトン、フォノンとの 結合、A02 ではフォトンの高度な制御技術の確立とフォトンと他の物理量の量子的な結合、A03 ではフォノンの高度な制御技術の確 立とフォノンと他の物理量の量子的な結合、A04 ではハイブリッド量子科学の実現に向けた理論構築を推進する。
実験研究は研究内容から A01~A03 の一番近い研究項目を選択し、理論研究は A04 への応募を原則とするが、ハイブリッド量子系 を目指す本領域の特徴として、例えばフォトンとフォノンを結びつけるような、各研究項目をまたぐ研究提案も大いに歓迎する。 また、従来、量子的な制御の研究を進めてきた研究者以外に、ユニークなナノ材料や高度な構造制御技術を有する研究者が、ノウ ハウや知識を活かしてハイブリッド量子系に挑戦しようとする意欲的な研究提案も期待する。応募上限額に関しては、予備的な研 究成果が出ており実現性の高いものに 1,000 万円、萌芽的な研究に 600 万円、理論研究に 400 万円を設定している。
本領域では、計画研究代表者等が所有する電子ビームリソグラフィなどの製造装置や希釈冷凍機などの測定装置を領域内で共同 利用するための領域内インターンシップも総括班で準備しており、これらを積極的に活用する公募研究も歓迎する。なお、共同利 用したい装置がある場合は、研究のどの部分にどのような装置の使用を希望するかを研究計画調書に明記されたい。
研究項目 | 応募上限額(単年度) | 採択目安件数 |
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A01 電荷、スピンをベースにしたハイブリッド量子系の研究 | 実験系:1,000 万円 実験系:600 万円 理論系:400 万円 |
2件 5件 3件 |
A02 フォトンをベースにしたハイブリッド量子系の研究 | ||
A03 フォノンをベースにしたハイブリッド量子系の研究 | ||
A04 ハイブリッド量子系の様々な理論研究 |
「ハイブリッド量子科学」においては、領域代表者等が所有する装置を共同利用したい場合は、「研究のどの部分にどのような装置の使用を希望するか」を研究計画調書に明記することとなっていますが、現時点で共用可能な装置として下記のものがございますので、併せてお知らせいたします。